写真ジャーナリスト、ルネ・ビュリの展覧会。
戦争などその実態を伝えようという彼の心が写真から伝わる。目の前の悲惨さをとらえるよりもその奥に潜んでいる陰を探ろうとする彼の写真は、その小さな枠から歴史を想像させる。物陰からのぞくような構図はリアル感が強め、ルネと一緒になってその場面をみているようだ。
また彼は世紀の偉大なアーティストたちを撮っているが、彼らはカメラの目を気にせずリラックスしているように見える。それは、ルネの素早くその瞬間を捉える技術が、そしてまたルネ自身のアーティストに対する態度がそれに現れているのだろう。私が好きだったのは、アンディー・ウォーホールによるシルクスクリーンのマリリン・モンローの前に、マリリンと同じような髪型をした中年女性が対照的に立っている白黒写真。ルネのお茶目な一面かも。
この展覧会はルネの初期から現在まで一通りの作品を見ることができる。作品はカテゴリー別に展示されているが、ちょっと狭い会場を進むごとに19世紀の歴史を振り返る。しかしそれ以上に、その時代の社会や人をルネの目で描写しようとする態度がよくわかる展覧会だ。
3月14日まで
場所:La Maison europeen de la photographie